『「こつ」と「スランプ」の研究 身体知の認知科学』
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身体知
からだに根ざした知
重要な2点
身体知の形成過程では、ことばが重要な役割を果たすということです。逆説的に聞こえるかもしれませんが、ことばをうまく使えば、身体の使い方も進化し、ことば(問題意識)も進化します。つまり、身体知の学びは、身体とことばが共に創られる(以後、「共創」と称する)現象なのです。
一般に、科学的な探究では客観的な観察が必要とされます。それを身体知研究にそのまま適用すると、物体としての「身体の現実」を捉える観察になります。しかし、それだけでは、当人がどのような身体感覚を得ているか、どんな問題意識をもっているかを計測することはできません。身体感覚や問題意識についての主観的データを取得すること、つまり「意識の現実」を捉えることも身体知の学びの研究には欠かせないのです。
第1章 身体知の魅力
p41
体感をことばで表現したときに生じるのは、体感とことばのマッピングです。マッピングが生まれたとき、ことばは体感に紐づいています。つまり、そのことばや概念はからだの感覚に根ざしているのです。
第2章 身体知をどう捉えるか
身体部位の冗長性
自動化(automaticity)
p64
自動化とは、ひとはあるタスクに熟達したとき、自分がそれをどのようにこなしているかを明確には意識できない(ことばて語れない)という概念です。
p66
第3章 情報処理モデルから認知カップリングへ
情報処理モデルの限界
ダルメシアンはどこにいますか
認知カップリング
第4章 身体知研究のあり方
第5章 身体とことばの共創を生む学びのメソッド
連想
身体と状況の相互作用
知識に基づく推論
着眼点/変数を見出す
問いの醸成
第6章 スランプを乗り越え、こつを体得する
第7章 身体知研究の最前線
第8章 身体知研究のこれから
共創のメカニズム
p 256
不連続点
からだメタ認知を実践していると次第に詳細なことばが増えてくるけれども、ある時点でことばが大雑把な方向に一転する
不連続点とは、包括的なシンボルと包括的な体感を得た瞬間ではないかという仮説
身体知の学びのプロセスには、こうした不連続という局面が多々存在することが想定されます。
・不連続点の直前までに、ことばシステム内のネットワーク構造はどのような変遷を遂げてきたのか
・不連続点では、類似性や連動性に気づいた「体感の実体」どうしは、他のすべての物理的信号データのなかでどのような位置を占めていたのか
・不連続点では、類似性や運動性に気づいた「体感の実体」に紐づけられたことば群は、ことばシステム内の他のすべてのネットワーク構造のなかでどのような位置をしめていたか
・不連続点の前と後で、ことばシステム内のことば・概念のネットワークや、身体システム内の物理信号データの距離空間がどのように変化したか
・包括的なことば、包括的な体感を示すようなデータは、ことばシステム・身体システム内にはどのように登場するのか